ヒロイン
















近頃のリョーマ君は、とてもご機嫌な日が多い。
天気がいい日が続いているからかな?
部活が楽しいのかな?
色んなテニスと対戦できて楽しいのかな?

ううん。きっとどれも違う。

きっと、好きな人がいるからなんだろうな。
仲が上手くいってるんだろうな。
その人の事を考えてるからなんだろうな。

その人、というのがわたしじゃない事ぐらいは幼いわたしにだって判る。
…ちょっと、片想いのわたしとしては悲しいけど、片想いだからこそ、リョーマ君が楽しそうにしてると嬉しい。

ほら、今も廊下の向こうからやってくるリョーマ君はとっても楽しそう。

「リョーマ君」

リョーマ君がわたしに気が付いたから、声をかけた。

「ご機嫌だね」
「そう?」

いつものポーカーフェイスのままリョーマ君は答える。

「うん。にこにこしてる」

わたしがそう言うと、リョーマ君は少しびっくりした様な顔をして、自分の頬に手を当てた。

ふふ。顔がにこにこしてるんじゃなくて、雰囲気が。
とても穏やかで、にこにこしてる。

「どこ行ってたの?」

その答えの大体の見当はついてるんだけど、リョーマ君に聞いてみた。

「3年の教室」

やっぱり。
3年の教室、というか、3ー1でしょう?
内心そう思いながらも、わたしは、そうなんだ、と何でも無い様に返事をする。

「オレが機嫌がいい、っていうけど、竜崎だって最近機嫌よくない?」
「え?そう?」

たしかに、わたしもリョーマ君が機嫌がいいから上機嫌なんだけど…。
どうして気が付いたんだろう?

「しょっちゅう鼻歌歌ってるもんね。廊下とかで」
「え!?うそ!」

…それは、気が付かなかったなあ…。やだな、なんか恥ずかしい。

わたしの顔、多分赤くなってる。

「なに、恋でもしてんの?」

いつもテニスコートで見せるような不敵な笑みでリョーマ君は笑うリョーマ君に顔から火が出るんじゃないかってくらいにわたしはますます赤くなった。
図星だって、ばれたよね…これは。

「へえ。竜崎も?オレもなんだよね。お互い頑張らないとね」

それを最後にリョーマ君はわたしの横を擦り抜けていった。

リョーマ君が頑張ると、わたしが失恋しちゃうんだけどな…。
去って行くリョーマ君の背中を振り返ってそう思う。
あ、予鈴が鳴ってる…。わたしも教室に戻らないと。

はあ、と溜息が出そうだったけど、リョーマ君が楽しいならいいかな、と思う。

どうかこれからも彼が幸せでありますように。

…手塚先輩、リョーマ君をよろしくおねがいします。
悲しい思いをさせないでくださいね?
いつでもリョーマ君が微笑んでいられるようにしてくださいね?
いつも、彼を想っててください。

竜崎桜乃、一生のお願いです。

















ヒロイン。
テニプリの公のヒロイン、桜乃視点によるリョ塚事情。
もちろん、もう一人のヒロインはみちゅこですよ?当たり前じゃないですか。(え。)
桜→リョ。です。
リョ桜は読まないわけじゃないですが、うん、やっぱリョ塚が命なので。
桜乃はポジティブな子だと思うので、相手が幸せなら自分も幸せ、ぐらいには考えるんじゃないかと。
っていうか、なんでこの子はみちゅこがリョマの相手でしかも両思いだと知っているんでしょうね。
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