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最も危険な遊戯











この世で、最も危険な遊戯。

それは、この恋人とする恋愛だと、オレ、越前リョーマは思いました。

聞いて下さい、神様。
神様じゃなくたっていい、誰でもいいからこのオレの告白を聞いてください。



オレの恋人は凄く綺麗なんです。
何が綺麗って、外見も勿論だけど、テニスに対する姿勢や、内面なんかも綺麗なんです。

ハッキリ言って、オレはあの人にベタ惚れです。
あの人無しじゃ、この先は生きていけないと思っています。
何に代えてもあの人が大好きなんです。
もう、大好きも愛してるもどの範疇をも越えて愛してるんです。

オレは、この想いを、時には咀嚼して、またある時には直球にあの人に伝えたんです。
その結果、オレはあの人を手に入れる事ができました。

その時のオレの気持ちと言ったら、言い表し様がなかったんです。
天にも昇る気持ちってこういう事をいうのかなって思いました。

でも、
問題はこの後からだったんです。

次の部活のオフの日に、オレはあの人をデートに誘ったんです。
休みだってなんだって、逢っていたいじゃないですか。
恋する少年として当然の行いでしょう?

なのに、あの人は祖父と先約があると言って断ってきたんです。


オレは、めげませんでした。
じゃあ、次に空いてる日をオレに頂戴って言ったんです。
そしたら、あの人、少し考えてから、次に空いてる日は3週間後だって言うんです。

それでも、オレは良かった。
だから、3週間後のあの人の時間をオレは有り難く頂戴したんです。

そして、3週間後、オレはあの人と連れ立って街に出かけました。
ちょっと前に見た雑誌に大手のスポーツ用品会社から新しいタイプのラケットが出たって載っていたからです。

買うつもりはありませんでした。
とりあえず、触るだけでもしたかったんです。
それをあの人に伝えたら、あの人も興味有りそうにデートコースに賛同してくれたんです。
その日のデートの幸先はバッチリでした。

スポーツ用品店で、発売してすぐだったせいかそのラケットはすぐに見つかりました。
ガットのバウンスは中々高吸収性で良かったんですが、ちょっと重かったんです。
オレ向きでもあの人向きでもないと思いました。
あの人もそう思っていたみたいで、これは河村か桃城向きだな、なんて言ってました。

スポーツ用品店で暫くブラブラした後で、オレ達はあの人の家に行きました。
単に、その店からあの人の家が近かった、というだけだったんですが。

オレはその日のデートで、キスをしようと思っていたんです。図っていたんです。

あの人の部屋に入ってから、色々話をしていました。
途中、あの人のお母さんがお菓子とお茶を持って来てくれたりしました。
お母さんも綺麗な人でした。
やっぱり、綺麗な人からは綺麗な人が生まれるんだとボンヤリ思いました。

オレはお茶を飲んだり、お菓子を食べたりしながら、あの人と話してキスのタイミングを計っていました。

オレの視線は喋る為に動くあの人の唇だけを見ていました。
そんなオレにいつもは鈍感なあの人が気付いたんです。
どこを見ているんだって、顔を赤くしながら。
オレは、ここからだと思って、あの人をムードに流しました。
完全に渦の中に嵌めたと思ったんです。

だから、オレは立ち上がってあの人の肩に手を掛けて、綺麗に流線を描く顎に指をかけて、顔を近付けました。

もうあと僅かで唇が触れる、というところで、オレはあの人から張り手をくらいました。
……正直、痛かったです。
心も、オレの片頬も。
でも、あの人は無意識だったみたいで、張り手を食らわされて床に突っ伏すオレに大丈夫か、スマンって声を掛けてくれたんです。

けれど、チャンスは一度きりだったんです。
オレの手の内がバレてからあの人に仕掛けてもダメの一点張りなんです。

照れて、いたと思うんです。多分。
正気で恋人の戯れをしてくれるような人ではないんです。
取り敢えず、今現在は。

オレは、その日は諦めて引き下がりました。
あまりしつこくねだると、嫌われてしまうからです。

その後はただ、話だけをして、帰る時間になりました。

帰ったら、親父に右頬にくっきりとついた赤い手形を笑われました。
はっきり言ってムカついたので、親父を蹴飛ばして逃げる様に自分の部屋へ駆け込みました。

そこから、その日一日の事を思い出して、オレは柄にも無く少し凹んだんです。
人生初だったかもしれません。

でも、へこみながら、オレの脳裏を駆け巡るのは、
待ち合わせ場所で待っててくれたあの人だとか、
店でラケットを繁々と眺めたり、手に持って感触を確かめているテニスをしている時と同じ表情のあの人の横顔だとか、
店内をうろつき乍ら話したオレの冗談に笑ってくれる笑顔だとか、
あの人の家迄行く間、一緒に歩き乍らふと見上げた日に照らされて綺麗に透ける髪だとか、
あの人が自分の部屋の扉を開ける時にドアノブに掛けた指先の繊細さだとか、
オレの視線が唇に行ってることに気付いて赤くした顔だとか、
ムードに一度は流されてオレを受け入れようとしてくれた唇の形の良さだとか、
無意識に拒絶してしまった初心ぶりだとか、
そんなあの人ばかりで。
そして、悉くあの人の全身全霊に見蕩れている自分がいるんです。

どうしたら、あの人から逃げられるでしょうか。
いえ、逃げたくはありません。
苦労して手に入れたんです。
それに、何よりもあの人を愛してるんです。
さっきも言いましたが、あの人なくして、オレの人生はあり得ないんです。

だから、お願いです、オレを麻痺させるぐらいあの人に今よりもっと溺れさせて下さい。
麻痺して、もう、あの人にしたい事できるぐらいに溺れさせてください。

あの人に溺れて死ぬなら、それもいいかなって思います。
こんなオレをバカだと思いますか?
オレもこんなオレはバカだと思います。

オレは、あの人を生きて愛していたいんです。
オレの腕で目で指先で体全体をあの人に向けていたいんです。

あの人は、オレを好きになってくれました。
それはとても、オレにとって幸せな事なんです。
人生で最高のハッピーなんです。


あの人と繰り広げる恋愛は、オレに取っては最も危険な遊戯です。
なぜって、あの人以外考えられない人間にオレがなってしまうんです。
そして、それすら幸せに思えるバカなオレがいるんです。


……。
…………。
























部長、
















































愛してるよ!!
















最も危険な遊戯。
サブタイ、リョーマの敗れるトライ初チュウ
・・・ってか、なんじゃこりゃ。
リョーマさんの惚気でした。ええ!?そんなシメかよ!
愛してるよは、是非、某カイさんばりに爽やかに…!!
張り手されてる辺りは実にギャグっぽくてスイマセン。
ギャグにする気はなかった……んですが、多分。(断言しろよ!
まあ、でも、敬語つづりで行くのも良いかと思いました。
敬語モエ?(ええー!?)
ありがとうございました!御感想など、ありましたら是非掲示板へ。
岳人バリに跳んで喜びます。
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