お仕置き

















手塚が喘いでますよ。ぬるく。
そゆのもドントコーイな方はこの先へドウゾ。
そゆんはダメジャーイな方はブラウザのバックへドウゾ。

































もう回数を数えるのも億劫な程、肌を合わせてきたことは知っている。
けれど、それを予感する度に如何に自分が世間一般の常識から外れているか、背徳的なことをしているか、とぞくりとする。

世間一般から多少外れているかはどうでも良い。
周りからどう見られているか、そんな事を気にかけていてはきっと緊張だらけで肩の凝る生き方しかできない。
自分が誰よりも自分らしく。その思いは自分も、そして『奴』も同じ。

そんなところでも気が合ったのかもしれない。
手塚国光という自身と、越前リョーマという人間は。

だから、こうして間に肉体同士を挟む様な関係にまで行き着いたのかもしれない…――



そんな事を、洗面台の鏡に映る自分を見詰めながら、一人手塚は考えた。
事前に浴びたシャワーのせいでしっとりと濡れた髪を丁寧過ぎる程にタオルで拭いた。

中学生である自分達は本来ならば立ち入ってはいけないだろう、ラブホテルの一室のユニットバスの傍らで。

翌日が休日の時、稀に、本当に稀にリョーマが誘う。
偶にはホテルに行かない?と。まだまだ幼さの残る、どちらかと言えば可愛らしい顔をしてサラリとそれを言い退けられ。手塚等はその単語一つ程度でもどきりとしてしまうというのに。
因にその誘いが稀なのは、現実的に金銭的な問題のせいだろうと手塚は推測している。

家でコトをするというのは剰りにもスリリング過ぎて、初めは手塚が洩らしたことが原因だった。
帰りの道程で遠くに見えるネオンの中にホテルの光がちらりと見えたから、ホテルの方がゆっくり出来て良いかもな、と。
ぽつりと洩らしたつもりのその言葉はリョーマに確りと聞き取られていて、その数週間後に何枚かの紙幣を手にリョーマが誘った。








色々な意味で寛げるからいい。
一つ屋根の下に居るだろう家人への心配が一切無い点が長所だ。

けれど、居住する為ではない、ある一つの目的の為に設えられた部屋というものは自分の行為を否が応でも明瞭に解らせてしまうところが短所だった。
今から抱かれるのだ、と、いう強迫観念にも近いものが襲う。
フロントを過ぎても、部屋の扉を潜っても、リョーマは至っていつも通りに手塚には映るが、その心の奥底では多少なり自分の様に考えていたりもするのだろうか。

抱かれる事は慣れた。初めに比べれば。
それが手塚には引っ掛かる時があった。今もそうだ。
浴びたシャワーのせいでいつもより指に馴染むような肌を鏡越しに見て、自分は男なのに男に抱かれるという事実を認識する。リョーマがよく誉めるその肌を見ると。
この鏡にリョーマが一緒に映っていたのならその思いはきっと今よりも一入だっただろう。

そのリョーマは先に湯浴みを終わらせて浴室の外に居る。
一緒に入ろうというリョーマに一人で入りたいと手塚が我侭を言ったせいだ。

手塚はまた鏡を見る。
見て、また感慨に耽りそうになる。その思いを断ち切るべく、視線を外して、シャツを羽織った。
リョーマなどはどうせすぐ脱ぐことになるのだから何も纏わず出てくればいいのにと言うが、流石にそれは手塚には躊躇われた。

眼鏡を外したせいでぼやける視界でゆっくりとボタンを留めていく。

「部長、いつまでかかってんの?」

ボタンホールを抜け切る前に、突然扉を開けて、リョーマが入ってくる。

「越前…」

肌蹴たシャツの褄を拳で握って、手塚なりに隠そうとする。けれど、上半身はそれで隠れたとしても、シャツからすらりと伸びた細い足にリョーマは浴場を煽られる。
リョーマは一歩、室内に踏み込んだ。

「どうしても部長が一人で入るって言うからオレも大人しく向こうで待ってたのに」

まだ胸元を押さえたままの手塚のその手首を握る。

「どれだけオレ待たす気?」

リョーマの手に握力がかかる。
詰る様な二つのアーモンドアイが手塚を捕らえてくる。思わず、手塚は顔を背けた。

コトを前にした時のリョーマの顔は未だ慣れない。
非道く雄の顔をしている、気がした。

「こんな事ならやっぱり一緒に入っちゃえば良かった」

握っていた手が引かれ、シャツの前が支えを無くしてはらりと左右に開く。
その覗いた手塚の胸の辺りにリョーマは嬉々として唇を這わせた。
その感覚に、手塚の背を何かが這い上がってくる。

「越前、待て…」
「やだね。もう待てないよ」

リョーマの片腕が伸びて、肩に引っ掛かる様にして纏われていた手塚のシャツが床へと音も無く落ちた。






「…ぁあっっ」

洗面台に上半身を伏せられた体勢で声が跳ね上がる。
いつもの自分から考えれば、酷く高音で、甘い声。

むずがる様に少し鼻にかかった声。覚醒している聴覚はそれをはっきりと拾い上げる。

これが自分の声だと判っているからこそ、羞恥が襲ってきて、それが副作用として手塚の感度を高めていた。

絶え間なく喘ぐ口元からは銀糸がしとどに垂れ下がり、肩口まで濡らしていた。

「…イイ声、もっと聞かせて?」
「はゥ…っんんっ」

台を支点に、腰を折るその背後の双丘の陰からリョーマの顔が覗き、再び沈んだ。
後部の入り口を解す様にリョーマの舌が先程から触れていて、次第にその先端が埋まる様に手塚の中へと挿入っていく。

縋るものもなにもない台の上で、手塚は拳を握って迫りくる高揚感を逃がそうと苦心する。

「あっ      ぁっあっ…や……
んっ」

手塚の言葉と精液が漏れ続ける間も、リョーマは舌を抜いては大腿まで這わせたり双丘の挟間を嘗め上げたりと執拗に手塚を嬲った。
リョーマが手塚を高めていく度に、脳からは思考が離散していく。
何も考えられず、ただ背後に感じるリョーマの気配と舌だけに手塚の中だけではなく脳も犯されていった。

「も、もう……っ、出る…っ」
「…散々、人待たせておいて、勝手に一人で達く気?」

潜り掛けていた舌を引き抜いて、リョーマは意地悪く薄く笑う。
その引き抜かれた刹那に、手塚の躯と声が跳ね上がるのもリョーマの愉悦を煽った。

「えち…ぜん?」

零れそうな程、濡れた目で首を捻って振り返る。
視線の先のリョーマは唇を吊上げた。

「『お願い』してみせて。この間、教えてあげたでしょ?」

今にも爆ぜ兼ねない自分の中心を必死に押さえつつ、身を起こした手塚の息は荒い。
口脇を流れていた蜜が顎の輪郭を伝って、一滴、また一滴と床に落ちる。それに混じる様に手塚の脚を垂れる白濁の液も床へと垂れる。

躯中を液に塗れさせて、手塚はリョーマの肩へと手をかける。それからゆっくりと顔を傾けて、

「――………っ!……」

拙く唇を触れさせる。

「…たの……む…っ…………」
「それから?」

目を閉じる事もせず、視界を独占する淫らに変化した手塚を飄々と見上げる。
絶対君主宛らに、その眸が手塚を従わせる。

「―い、……………達かせて……っ」

肩を震わせ、視線も外して、蚊の鳴くような声で告げられた言葉群に、リョーマは、ふ、と笑い、ふわりと手塚を抱き込む。

「ヨクデキマシタ。いいよ、達かせてあげる」

リョーマからの刺激無しにはこの躯が鎮静を見ないという現実が手塚を苛む。
けれど、この時の手塚にとっては目の前のリョーマを欲するだけで、手塚の堂々回りはまた続くことになる。




















お仕置き。
…どうしても、どうしてもリョ塚でコレがやりたかった…!!
その世界に聡い方ならお気付きかと思いますが、某BLコミックのパロです。
出典元は母の蔵書です。いつもお世話になってます。ぺこり。

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