Perfume LoseControl
















こぷん、と少しだけ出た。

「………ちょっとさあ」

苦々しげに呟いたリョーマの額から流れた汗は輪郭を滑らかに伝って顎先から落ちる。
己の肌に水滴が落ちる感覚で真下で仰臥する手塚はそれまで閉じていた瞼をうっすらと持ち上げた。その目許はほんのりと朱い。
虚ろな声で「なんだ?」とリョーマへ尋ねれば、彼は殊更不機嫌そうに眉根を寄せてみせた。

「確実に突いてるんですけど?」
「なにを?」

前立腺、と即座にリョーマは答えられた後、手塚は何か考える様に空中を視線を遣り、それから艶かしい吐息をリョーマの下でひとつ落とした。
そうみたいだな、とどこか他人事めいた返事も添え乍ら。
自分の上で相手の顳かみが苛立たし気にぴくりと振れたのが判った。

「なんで出ないの?」
「………なにが」

先程から似た様な返答をせずにはいられないリョーマの問い方が煩わしいとでも言わんばかりにシーツ上の手塚が発した声は低く、いつの間にか眉も顰められていた。
とてもでは無いがセックス中のやり取りじゃないだろ、とリョーマは思う。お互い、相手に苛立たし気で交わす睦言など睦言と呼んでいいものか。
しかし、これでもお互い相手への愛情はあるというのだから友人知人の類に話したところで理解され難いに違いない。惰性で続けている逢瀬では無いのだ、これは。

欲しいから、欲した。
発端はただそれだけだ。

「精子」

手塚の渋面に何とも遣る瀬無い思いを馳せつつ、先の問いへリョーマは端的にそう返事をしてみせる。
理解が及ばざるを得ないその開けっ広げな答えに、手塚は短く語尾上がりに「ああ」とだけ漏らした。
ムードも何もあったもんじゃない。

確かに、彼の頬や耳、目許に飽き足らず首筋や肩に担ぎ上げた腿までが色で染まっているのは欲情を唆される。
彼の中は充分に熱く、時折誘う様に蠢いては感覚にも刺激を与えてリョーマを肥大させる一方。
挿し込んだそれは時を追う毎に猛々しく膨張し、本能的に抜き挿ししてみせれば眼下の彼は恥ずかし気に瞼を伏せ、短いけれどとびきりに甘い声をぬらりと光る口許から断続的に零す。
その口で、時折こちらの名前を呼ぶ。薄目を開けて必死にこちらを見ようとする。けれどまた快楽に負けて目を伏せる。それがリョーマには何とも悦楽的な構図で。

なのに、律動の結果、手塚が吐き出したのはほんの数滴。

相手の”そこ”へとリョーマは確実に当て擦っているのに。
散々、手塚は声を上擦らせ、息を一瞬詰めた後なのに。
リョーマが思い描いた限りでは、勢い良く迸り、リョーマが担ぎ上げた脚のせいで出来た付け根の窪みに溜ってみせる筈で。
手塚の仕草はどう見たって彼が限界を迎えた様そのものだったのだから。リョーマの考えは鄙俗しいのでも何でも無く、至って普遍的な範疇に入る。
茂みを僅かに濡らす程度だった手塚の射精は、逆にリョーマを唖然とさせた。

そして、思わず不満を漏らせばこの有り様。
ムードも何もあったものではない、この刺々しい空気。

「出したじゃないか」
「いつももっと出てるでしょ」
「ふまんか」
「不満だね」

まだ屹立したリョーマを裡に抱えたまま、手塚は息を吐き出し躯の力を抜いた。
それまで張り詰めていた脚もだらりと垂れ下がり、反動で踵がリョーマの背中を小突く。

「…なんか、また魂胆なの?」

手塚は時折意地が悪い。
またその一端なのかとリョーマは思った。例えば、リョーマを困らせたくて堪えているだとか。焦るリョーマを見てみたいだとか。
その意図を含めて手塚へ重ねて訊けば、彼はまず肯定の言葉。
それから、

「おれが出すまで、おまえは出ていかない」

それまではひとつだ、と先程から続く舌っ足らずさを抱え乍らも手塚は嘯き、彼の口からそう聞いて少しした後に、リョーマはゆっくりとグラインドを再開した。

「……楽しそうだね」
「つまらなくはないな」

得意顔で、手塚はリョーマが腰を前後に動かす度、シーツの上を微弱な動きで前後に揺れる。
そして揺られつつ、喜色を浮かべつつ、また官能的に瞼を下ろした。
手塚の身が小さく揺すれるのはリョーマが規則的に抽挿するからで、力の抜けた手塚の脚がリョーマの肩を跨がり背中を規則的に小突くのは揺れの反動で。

とん、とんとん、と振動に任されるがままの踵がリョーマの背中を小突く度、同調する様に手塚は口の端から嬌声を零す。
力の籠らない躯は出し挿れするにはスムーズで、暫くリョーマはいつになく従順な手塚の裡を堪能した。

「………っ、、ん……
「ぅ――、…――あ、…
「…………っ、はぁ、
「ん


覚えた彼の一番悦い場所を緩いピッチで当て擦る。
そうすれば程無くまた手塚が声を上擦らせ始め、そしてリョーマの口が不意に解けた。

「部長が出ていけ、って言うまでオレはいるよ」
「…んッ……――ぁ、」
「だから、」
「――ふ、……んぅ、……ア…――ァッ」

皆まで言わずとも理解したのか、リョーマが次に深く差し込んだ時、やっと手塚は爆ぜた。
そして言葉通り、手塚が正気を取り戻して根を上げるまで際限無くリョーマは彼を愛し続けた。














Perfume LoseControl
エロなのに短い!なんて言わないでやって頂けると嬉しいです。苦笑。
あるような無いような行間を色々深読みして頂ければあら不思議、文量が倍に! 苦。
リクで『裏』と頂く程にエロ系をまるで書いていないこのサイトのことですから。
95559hitありがとうございましたー。日々追う毎にエロから遠ざかっていっている健全サイト★ですが今後ともよろしくお願いします。

ありがとうございまーしーた。

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