ラストシーン
生温いェロあり。
大丈夫さんですか?
お年はいくつですか?
年齢制限が何のためにあるか考えてくださいね?
「凶氣」と「枯渇」の続きです。
か細い吐息がどちらの唇からともなく漏れる。
蕩けそうで痺れる様な剰りに過剰なまでに甘美に。
リョーマの右手は手塚の耳朶を辿り、柔らかに髪を梳く。
相手の首に絡めた手塚の腕の先の五指もそれに応える様に忙しくリョーマの髪を弄った。
応える様に?否、寧ろ相手をより貪欲に求める様に。
その手付きは正確にリョーマを煽った。
よく心得てらっしゃることで。
手塚の指に翻弄され乍らもリョーマは内心だけで苦笑した。
リョーマの左手が手塚のシャツに掛る。
ひとつ、ふたつと矢鱈に丁寧で慎重な様子でボタンホールから抜けていく。
辺りを覆い出した薄闇に手塚の膚が厭に仄白く露になり出した。
釦を残りふたつ、というところでリョーマは一度手を止めて、膚蹴たシャツの隙間からそっと掌を忍ばせた。
薄い、けれど弾む様なその肌理にリョーマの熱が加速する。
自分の上を這う感触に僅かばかり手塚の背が弓形に仰け反った。
そして塞がれた口唇からも小さく声が漏れた。
リョーマの指は手塚の胸に触れることなく、そのまま脇腹を辿って背に回る。
やや強引に腕を進めたせいか、膚蹴ただけのシャツから手塚の肩が覗いた。
痩身故に際立つ背筋の溝を上から、そして下から這う。
ぞくりとその刹那に手塚の膚が粟立ち、小刻みに躯が震えた。
迫り来る快楽故に。
手塚の熱も、次第に上昇していく。
リョーマの五指はそんな手塚の膚を這い回る。
背から腰へ。そして更に下降し、双丘へと辿り着こうとする。
けれど、まだ解いていなかったベルトに邪魔をされ、指先が麓の窪みに触れるに留まった。
リョーマは唇の角度を変える。
そして、一度衣の奥まで潜り込ませた左腕を引き抜いて、手塚の下肢へと伸ばして障害となっていた革製のベルトを器用にも片手で解いた。
腰元が緩くなった感覚にリョーマの髪を弄る手塚の指が激しくなる。
瞑った瞼に力を込めた。
再び、口唇から小さな声が漏れた。
少しばかり甲高い。けれど消え入りそうに微かな幽かな聲。
宵闇が濃くなる。
草間に在る二人の熱と呼吸は更に高みへと昇る。
更に。更に。
急激にではなく、けれど緩慢にでもなく。けれど、確りと。
侵入を許されたまだ些か幼い指は彼の中心へと向かう。
それは緩りと頭を持ち上げ始めていて。
「…部長」
左手に触れたぬるりとした感触にリョーマは一度キスを止めた。
離れていくリョーマを追うように手塚の舌の切っ先が鮮やかなその割れ目から覗いていた。
「いつから…」
リョーマは俯き、くしゃりと右手を自分の前髪に埋めた。
耳の先までその貌は朱で染め上げられた。
「お前の膚が見えた頃から、だったかな…」
「なんでそんな余裕なの…」
リョーマが思う程手塚だとて余裕がある訳ではないのだけれど。
それは手塚の中心と目尻に溜り始めた涙が物語る。
ああ、もう、信じらんない、と譫言の様に、更に貌に赭味を増してリョーマが零す。
尚も首部を垂れるリョーマのその様子に手塚は口元を苦笑で染め上げて、うっすらと唇を開いた。
「それだけお前が欲しかった、という証拠になるだろう?早く、来い」
「今日のアンタは史上最強にキョーアクかも…」
ちらり、と項垂れて視界に掛る前髪の隙間から上目遣いに見据えれば、妖艶に相手は頬を擡げた。
「来い」
お前が堪らなく欲しい、と続いて猥らに唇が奏でた。
やっぱり、キョーアク。それでもってアクシツだ。とリョーマは心に思った。
思ったけれど、やっぱりそんな彼に自身が昂ってくる事実を覚えて、リョーマはまたその唇を噛み付く様に塞いだ。
手塚が眸を閉じた。
次の瞬間には口腔で卑猥に水音がした。
そして、それは直ぐには止まず。暫間にして続いた。
絡み合い、駆け引きをその狭い場所で。
どこか、お互いに楽しそうに。
終い、とばかりにリョーマが唇を離して、一度軽くキスを施した。
「一回、達っとく?」
指はまだ剥がされずに衣の内に潜む手塚の中心へと触れる。
「このままじゃ何か辛そうだし」
言い様、右手を手塚の腰に回して若干浮かせ、左手でするりと軽業の様に着衣を剥いだ。
刹那、抵抗ともとれる短い声が上がるが、敢えてリョーマは聞き流した。
そして、己の躯を下降させて屹立し出している手塚自身をその口内に納めた。
途端に再び手塚から甲高い声が上がる。
鼓動が早くなる。呼吸もそれに倣う。
躯が、震えた。
手塚の震えを膚伝いに感じながら、リョーマは動き出す。
その動きと同調するように短く小さく手塚から甘い声が漏れる。
いつもの様に堪えようとも噛殺そうともせず。
普段、あんなに色々気にしてる人なのに。
それだけ自分を待ち侘びていてくれたのかと思うと正直嬉しい。とても。
そう思うとリョーマの動きも烈しさを帯びる。
極みへと愛しいこの人を昇らせる為に。
「えち…ぜ…っ!」
自分の名を合図にリョーマの口内に苦い味が広がった。
決して美味いものではない。
特異な臭いもするし、普段ならば嫌悪する様な臭い。
けれど、愛しい者のソレは甘美な蜂蜜の様で。
一息にリョーマは飲み下した。
喉元がこくり、と嚥下の動きをした。
「ごちそうさま」
「…その感想は止めてくれ…」
襟刳まで朱色に淡く染めて、肩で息すらして、手塚がリョーマを睨む。
そんな手塚にリョーマはどこ吹く風とにこりと朗らかな迄に笑う。
「いいじゃん。美味しかったけど?」
「…もう、勝手にしろ。……。…越前、口の端に」
付いている、と変わらず赤面の侭に手塚は身をゆるりと起こして、リョーマの口の端を親指で拭った。
その刹那にリョーマは手塚の親指ごと咥え込んで、少し歯を立てた。
残滓が舌を落ちていく。
「こら」
「やっぱ、甘いかも」
「甘くない」
「甘い。アンタってグラニュー糖ででも出来てるんじゃないの?」
そして、またリョーマは手塚にキスを施す。
「甘い」
キスの後に薄らと開いたリョーマの眸は何かに酔う様で。
その眸をまた瞼の奥に追いやって、リョーマは手塚の手を取って唇を寄せた。
「ここも」
そして腕の輪郭をなぞる様にして口唇を肩口まで滑らせる。
「ここも」
次は首筋に、そのまま滑る様に舞い降りて鎖骨の影に、胸元へと小雨を降らせ様、一度起こした手塚の身をまた緩慢に草が生い茂る大地に埋めた。
手塚の耳許で草が揺れる乾いた音がカサリと鳴った。
手塚は、瞼を下ろした。
膚に触れてくるリョーマの唇の温度が心地良いような、けれどどこか羞恥を覚えてしまう。
「どこもかしこも、アンタ全部が甘い」
そしてリョーマは手塚の胸の紅に到達し、触覚で反応して手塚の身がぴくりと振れる。
手塚のその反応を楽しむかの様にリョーマは啄む様に何度か其所へ唇を落とす。
その度に手塚の躯は跳ねた。
「えちぜ…ん」
「なに?」
何かを訴える様に手塚の掌がリョーマの髪を掴むが、リョーマは至って飄々と返した。
「焦ら…すな」
開かれた手塚の片眸から一筋雫が零れて顳かみ、頬、と伝った。
潤み過ぎてもう一つの眸からも零れそうだった。
平素とは違う意味合いで顰められた眉根を、手塚の胸元から顔を上げたリョーマは見てしまって、悪戯が成功した子供の様にくすりと楽しそうに笑った。
「ごめん」
一度は下降させた身をまた伸ばして、手塚の額と鼻頭、口角にキスをそれぞれ一つずつ。
擽ったそうに、手塚はくしゃりと瞼を伏せた。
「オレが欲しいって言ってくれたのにね。ごめんね」
最後に零れ落ちそうな目許の涙を舌で掬って今度はすまなさそうに、笑う。
目許に触れる体温にそろりと手塚は瞼を持ち上げた。
「好きだよ」
薄く開いた視界にリョーマの貌が滲む。
そして聴覚もリョーマしか捉えない。
ああ、今、自分の世界にはこいつだけなのだと思うと熱が上がった。
下肢が切ない音を起てる様に痺れた。
唇が何かをリョーマに伝える前に彼自身により遮られた。
甘い甘い、胸焼けがしそうな程に強烈な甘さが腔内に広がる。
きっと、リョーマも同じ味覚を味わっている。
自然と、手塚の舌がリョーマへと伸びる。
そしてそれは自分の期待通りに絡められて、時に引き寄せられ、時に力を緩められる。
止まれなかった。
手塚はリョーマの髪を掻き抱く。
指に纏わりつくこのしなやかな心地は手放せない。
リョーマは手塚の頬に触れた。
先刻流れた涙の筋道がまだぼんやりと残っていて微かな冷ややかさがある。
お互いを求め合うその隙間に、リョーマは今一度手塚の下肢へと片腕を伸ばした。
触れて欲しい無意識下の行動で手塚がリョーマの下で緩く躯を曲げた。
手塚の中心を掠り、その更に奥へと進む。
見つけた。
其所へと触れた瞬間に手塚が思わず身を引く。
けれど、そこには大地と云う限界があり、覆い被さってくるリョーマの唇からは逃げられない。
自分の中に侵入してくる感覚。
くぐもった手塚の何かの声はリョーマの口腔に霧散した。
リョーマは手塚の声すらも飲み込んだ。
その合間にも片腕の先に伸びる五枝のうちの何本かが順序正しく手塚の裡に収まっていく。
ひとつ増える度に手塚は声を上げた。
けれど、それはリョーマが一縷も残すことなく吸い上げて摂り込んだ。
自分の裡で枝が動き出した。
裡に身を隠す様に在ったソレを一瞬掠めた刹那、今迄よりも一際大きく手塚の躯が跳ねた。
それを押さえ付ける様にリョーマは手塚に寄せる身に力を込めた。
自分の真下で恋人が痙攣するように幾度か小さく跳ね、もう一つの彼自身が怯えるかの様に震えて白い雫を零し出した。
それは丁度、夕立ちの後の薄い水溜まりの様に脚の付け根の窪みに溜り出し、溢れて腿の麓を辿ってリョーマの掌に絡み付く。
ひくり、と何度目になるか判らない手塚の躯の震えの後、リョーマは緩やかに埋めていた指を引き抜いた。
その瞬間も手塚の躯は跳ねた。
塞ぐ唇さえもわなわなと震え出すから、リョーマはそれを解く。
途端に息を吸い込む音か、只の嬌声か。手塚から上がった。
「中、入る、から。力、抜いてて」
最早、お互いが憔悴した状態に近かった。
自分の言葉をきちんと認識しているかどうか。
自分でさえも、放った言葉を認識しているかどうか。
掌に纏わりついた愛しいこの人の蜜と、自身から溢れ出し始めた蜜とを捏ね繰る様に自身に絡み付けて、リョーマは手塚の脚の間に身を落とした。
そっと戦くように反り返る手塚の中心に触れれば、やはりまたぴくりと手塚の躯が跳ねた。
愛しい人、愛しい人。どうかオレを受け入れて。
祈るのは天高くに住う神にではなく、彼自身に。
は、と手塚が息を吐き出した。
それを、契機にした。
リョーマは手塚の中へと侵入した。
闇の帳を裂く様に手塚から声。
「部長、大丈夫、だから。力、抜いて。オレが、欲しいんでしょ?」
剰りにこの言い方は傲慢過ぎるだろうか。
相手を欲しているのはリョーマだとて同じ。
どちらが優だとか劣だとかの境は無い。
「欲しいなら、力抜いて。あげるから」
オレの全てを。
貴方だけに。
求めてくれるのなら、受け入れて。
「えち…ぜ…ん」
その頬は涙でしとどに濡れていて。
蜜に塗れた掌で拭ってやりたくて、腕を伸ばした。
頬に触れた。
安堵するかの様に一瞬、込めていた手塚の力が抜ける。
リョーマは、突き進んだ。
手塚の声が、聲が、宵の闇に散った。
ごくり、と夜の大気を飲んだのはどちらだったか。
暫間の後に、ほぼ同時に二人は果てた。
ラストシーン。
引っ張ってきました、野外プレイのラストシーン。
…。
今のわたしの精いっぱいかと。
脱兎!
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