プリーズアンリミティッド
















「越前、気持ちは変わっていないか?」


逸らせた視線の上方から手塚の声が降ってくる。
リョーマには声音から、とても穏やかな声だと判る。

「どういう、意味?」

恐る恐る手塚を見上げてみれば、彼の視線は更に上に向かい、日に透けている木の葉を見上げていた。

「どういうもこういうも」

リョーマの視線の先の手塚の眸が自分を捉える。そしてリョーマはその眸に捕らえられる。
逃げられない。
逃げられる訳がない。

その理由は―――――。


ゴクリ、とリョーマは息を呑む。

「まだ、俺の事が好きかと聞いている」

逃げられないその訳は、まだ、この手塚国光という男に惹かれているから。

手塚の眸にはその奥に囚われたリョーマが映り込む。
リョーマの眸には捕えたくて仕様がない人物が焼き付く。

「Yes.I love you,yet.」

幼い頃を米国で暮らしたせいだろうか、リョーマは英語の方が自国の言葉という感じがする。
英語の方が気持ちを伝え易いと思う。
たとえ、それが目の前にいる人間が日本人で英語がとんと判らなくても。

「Being to think, that I can forget you, it does?」
「あんな断り方をしたんだ。気持ちを消そうと思われても仕様がないだろう」
「As for you English understands?」
「まあ、ヒアリングぐらいはな」

ヒアリングだけでも判れば、現状況では充分だ。
この言葉が通じれば構わない。

リョーマは続ける。

「With that, the you are that in some sense? 」
「どういう意味で言っているのかだと?判らない、か?」

囚われた眸の中のリョーマが手塚の目蓋の奥に消える。
鳶色の眸が見えなくなって、リョーマは小首を傾げる。

「Never, is not you to try turning round in me, how to think, don't you think? probably will be?」
「ご明察、だ」

リョーマの言葉の半瞬の後に手塚が目蓋を薄く開ける。
どこかはにかんでいる様な手塚にリョーマはピュウッと揶揄って口笛を吹いた。

「In addition don't you think? delightful lie you word you bore that.」
「はぐらかすな」
「What? Being serious, you say, it is?」

心持ち怒りで手塚の眦が吊り上がる。
そんな手塚に怒りたいのはこっちの方だ、とばかりにリョーマも視線に怒気を含ませる。

「You're kidding.That day, do you do you called to me something, being to forget?」
「忘れている訳がない。あの日、俺は恋をするには早い、とお前に言った。けれど…」
「Wait!」

語尾を濁し、視線を逸らす手塚にリョーマは人指し指を突き付ける。
向けられた人指し指すら見ずに、逸らした視線のまま手塚は深く眸を閉じる。

視覚を遮断して、リョーマの言葉の続きを待つ。

今の手塚には、リョーマが見られない。
責められている。あの日の自分を。
それもある。

これから自分が言うであろう言葉が手塚にはまだ羞恥を伴うものだということもある。

そして、それ以上にリョーマに堕ちている自分を相手の眸の中に見るのが怖かった。
気付いている。堕ちていることには。
気付かされた。この1週間で。
そして、今、此所で彼と対峙して、彼の眸に映る自分の姿を見て、その気持ちは更に増す。

それを気付かれたくない。
それも、あった。

リョーマは容易く自分の内側を知る。
この想いの深さを目を開いていれば気付かれる。

それは、今の手塚には我慢ならないことだ。

「Waiting. As for the notion that where as for the reason how that, you understood in me your feeling changed. Because you understood, therefore, please ask have the continuation me call.」

あまりにリョーマが早口に言うものだから、手塚のヒアリングは追いつけない。
不思議そうな眸を此方に向けるてくる手塚にリョーマはにこり、と軽く笑んで、ゆっくりと言葉を紡いでやる。

「Making me call? 」
「…ああ」

手塚もリョーマにつられた様ににこり、と笑む。
リョーマ含め、自分に近しい者しか気付けない薄弱な笑みで。

「This time ' Yes ' with you answer, it is, don't you think?」
「Yes」
「Yet, ' Yes ' with please speaking.」

向けたままだった人指し指を手塚の唇に押し付ける。
眸の中は悪戯な色で満ち始めていた。

押し付けられた指を軽く握ってそこから離せば、逆にリョーマが手塚の指に自分の指を絡める。

そして、爪先を重心に手塚へ向けて背を伸ばして、彼の肩に額を埋める。




「Your feeling in me. In ……… just me.」



































プリーズアンリミティッド。
リョマさん告白2回目。
ちょっと英語に移行するには強引かな?と思いましたが、まあ、ゴウイングゴウイングイッツオーライなので。(何)
これで、頂いたご意見は全て消化です。
こ、こんな感じでも大丈夫でしょうか?はらはら。
あ、それと。リョマさんが言っている英語ですが。
まあ、アバウトな訳なのであまり信じないで下さいね?(笑)
「うん、まだ好きだよ」
「オレにアンタを忘れる事が出来ると思う?」
「英語、わかるの?」
「それで、アンタはさっきのアレはどういう意味で言ってんの?」
「まさか、オレに振り向いてくれる。なんて言うんじゃないよね?」
「それは、また嬉しい嘘を言ってくれるもんだね」
「何?本気で言ってんの?」
「冗談はよしてよ。あの日、アンタはオレに何て言ったか忘れた訳?」
「待って!」
「待って。アンタの考えがどういう訳で変わったのかはわかんないけど、どうあれ、その続きはオレに言わせてよ」
「オレに言わせてくれる?」
「今度は『はい』って言ってくれるんだよね?」
「まだ、『はい』って言わないでよ」
「アンタの気持ちをオレに下さい。オレだけ……に」

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